日本から世界に
大学２年で休学し、プロサッカー選手を目指してイギリスに留学した。１０ヵ月頑張ったが、その壁は厚く挫折。そのまま、大学に復学し経営を勉強しながら働くことにした。東証一部上場企業であった起業家を排出する企業に中途採用で入社し、営業として働くこととなった。学校で学ぶよりも現場にいる方が勉強になる。そう感じ、ビジネスにもっと集中するために大学を中退した。
５年間勤務した会社を退職し、２７歳で起業。前の会社では学ぶべきことも多かった。自分自身のライフプラン、人生計画を細かく立てていた。実際に会社を作る期日を決め、そこからブレイクダウンし、２７歳で起業すると言うのを明確にしていたからであった。
４年かけて、飲食・サービス店５、６店舗（フランチャイズ支援事業、焼肉店、ゴルフスクール、移動販売、バーなど）の経営を行っていた。売り上げもよく、そのままでも別段困ることもなかった。しかし、日本のスピードと世界のスピードとのギャップをいつも感じていた。いつか世界に出なきゃいけないと考え、３０歳というタイミングで次のステージに移動しようと決めていた。ヨーロッパやアジアを廻りながら、新しいビジネスポテンシャルを探している途中、２０１０年７月、初めてカンボジアを訪問した。この土地だと瞬間的に感じた。すぐに現地法人を共同代表らと共に立ち上げることにした。共同代表としたのは、メリット、デメリットを考えたわけではなく何かを作り上げていく中で組織として、仲間として一緒にやっていきたかったからだ。
日本に戻り、全ての事業を売却した。また建てたばかりの自宅もそのまま売却し、２０１１年に家族で移住してきた。何をやるかはまだ決めない状態であった。ただ自分のアドバンテージは、今まで築いてきた経営者の方々とのネットワーク、そしてそれらを繋げて、新しいものを起こしていく事であった。
現在は、日本企業の進出支援コンサルティングとして、バックオフィスをつくるところから人材採用、事業開発、農業事業などを行っている。進出支援事業ではすでに１０店舗の飲食店のオープンをサポートした。また、子会社となる農業事業では約千ヘクタールの農場経営を行っている。事業はだんだんと幅が広がり、仕事やセミナーを行うためカンボジア中を走り回り、日本とプノンペンを往復し、タイやシンガポールなどアジアを飛び回る生活をおくっている。
２０１３年には、カンボジア和橋会を立ち上げ、同じ思いを持った日本人経営者のネットワーク構築に取り組んでいる。また、実際にいくつかの事業を行なっている事もあり、現在までに二百人を越える会社経営者が視察に訪れている。
日々、カンボジアでやりたいと思えることが増えている。今後も仲間と一緒に楽しめそうだ。
日本からの進出支援。そして繋がり
カンボジア和橋会の会長として
（こちらの記事は書籍版でご紹介しております）
今後のカンボジアと自分の挑戦
将来的な展望として、ストリート６３に日系の飲食業や美容などを中心に１５店舗ほど出店し、絆ストリートとしたいと思っています。カンボジアと日本の絆ということで、定期的に日本に関するイベントなども行いたいです。
カンボジアに来るまでは自分のライフプランを決めて、それに合わせて動いていたんですが今は考えないようにしています。というのも、カンボジアのスピードは想定以上で、自分のプラン以上に進むことも十分考えられるからです。今の経済状況やプノンペンの発展は３年前のカンボジアでは考えられないレベルだったわけです。あと、人のご縁の中で新たなものが生まれてきますから、人ありきで一つずつを形にしていく。まだまだやっていきたいことはいっぱいありますし、生まれてきます。
経営者の方々へのアドバイスとして、進出先を選ぶ場合には他の国との比較検討する際にカンボジアを入れてみてください。そして、このカンボジアの勢いと可能性を実際に肌で感じて頂きたいです。そこで何らかの感触を掴んだ方は、まずやってみることをお薦めします。先行者メリットが得られる最後のアジアの成長国がカンボジアだと思いますので、このタイミングで経験値を高めておくことは非常に大きな武器になるはずです。
黒川 治郎 (くろかわ じろう)
出身： イラク・バクダット生まれ、日本育ち、埼玉県
学歴： 東京理科大学経営工学部中退
職業・業種：HUGS Co.,Ltd.（カンボジア法人）代表取締役、カンボジア和橋会会長
座右の銘：結果は想いの総量
趣味： フットサル
カンボジア歴： ２０１０年より在住
ウェブサイト：http://hugs-int.com/
