Bayon (290)

アンコール・トムのメインとなるバイヨン寺院や南大門に埋もれがちだが、その他の遺跡もユニークな魅力を持つ。

【ピミアナカス】
バイヨン寺院の北西に位置する遺跡で、「空中楼閣」の意味をもつピラミッド型ヒンドゥー教寺院である。
元は10世紀前半に時の王に建設された寺院であるが、アンコールワット建立の王スーリヤバルマン2世によって再建された。
建立時はピラミッド最上部に塔があり、当時の王はその中でナーガ(蛇神)が姿を変えた女性と初夜を共にすることとなっており、その際にナーガが姿を見せなければ王の身に災いが、王が塔に赴かなければ国に災いが降りかかるとされていた。

【バプーオン】
こちらもバイヨン寺院北西に位置する遺跡で11世紀に建立されたピラミッド型寺院である。
元はヒンドゥー教寺院として建立されたが、15世紀頃に仏教寺院として改められ寺院西側には巨大な涅槃像が建造された。
バプーオンで最も目を引くのは寺院まで続く「空中参道」である。
池の上にある参道を歩くことで寺院の神聖さを感じることができるだろう。

<バプーオンと「子隠し」の伝説>
バプーオンとは「子隠し」の意味である。この名がついたのはかつての伝説が元になっている。
その昔、シャム(タイ)の王とクメールの王は兄弟であった。シャム王はクメール王に自分の息子を預けたが、それを策略だと考えたクメール王の家臣が息子を殺してしまう。当然シャム王は激怒し、クメール王国へとシャム軍を送り込んだ。
その際、クメール王は自分の息子が殺されないようにこの寺院に隠したとされる。

【象のテラス】
バイヨン寺院北側に位置する約300メートルに渡るテラス型の遺跡であり、象や象と戯れる子供の彫刻などが施されている。
12世紀後半にジャヤバルマン7世によって作られ、当時は凱旋する軍隊を眺望したり、王への接見など儀式や式典に使われていたとされる。
立体的に作られた象の鼻の部分から顔を出すとユニークな写真が撮れるスポットとなっている。

【ライ王のテラス】
象のテラスのすぐ隣にある高さ約6メートルのテラス型遺跡。テラスは二重構造となっており、内側には神々の彫刻が多く規則的に施されている。テラス上部には彫像が置かれており、この彫像は元は死の神ヤマ(閻魔大王)を表していたようだが、時が経つにつれハンセン氏病(ライ病)を患った王「ライ王」を表すと言われるようになった。
ライ王のエピソードは三島由紀夫の戯曲「癩王のテラス」の題材となっている。
ちなみに、このライ王の彫像はレプリカであり、本物はプノンペン博物館に保管されている。