【特集】プノンクーレン 聖山探索

特集

Preah Ang Thom (Phnom Kulen) (93)

 

王国が生まれた聖なる山

クーレン山の入場ゲートを越し、山へと車両を走らせる。少し急な斜面を抜けると、大きな岩下には神の祠がある。ゴツゴツした岩肌を横目に狭い道路を上っていく道すがら、青々と茂る木々から、太陽の光が差し込んでくる。「プノン(山)クーレン(ライチ)」、意味はそのままライチの木が多いから。多くのカンボジア人が巡礼のために訪れる聖なる山クーレン。山の奥深くに踏み込むと、その神秘的な雰囲気に飲みこまれてしまう。「パワースポット」、ありきたりの言葉であるが、訪れるカンボジア人には心からそう信じられている空間である。
プノンクーレンは802年、時の王ジャヤヴァルマン2世がジャワ王国からクメール王国の独立を宣言したとされる山である。当時、山中には50を超す寺院や彫刻などが造られたが、その多くは風化し森の中に埋もれている。そして内戦時代にはポルポト派の兵士が山にこもり、森の中では戦闘が行われ、残された遺跡も盗掘の被害にあった。
山中の主な見どころは、巨大な涅槃像と川底に眠る千本リンガの彫刻、そして迫力のある滝である。また、山深くに入るとアンコール王朝初期に建造された寺院や巨大な象の像なども残されている。そんな空間ではあるが、山中には村も点在し、多くの人々が生活を営んでいる。信仰と生活が混在した特別な空間である。

プノンクーレンへの行き方

シェムリアップから北東へ約50km。車やバイクを利用すると1時間程度で山麓の入場券売り場(朝6時~正午まで)に到着。そこで外国人入場券20$を購入し、山頂までは40分程度で到着。見どころとなるエリアは徒歩でも歩ける距離ではあるが、それぞれが少し離れているため、乗ってきたバイクや車両で移動するのが一般的となる。エリアによってはトレッキングとなるため、動きやすい服装と歩きやすい靴を身につけたほうが良い。

 

おすすめの季節

乾季だが、雨季でもOK!
雨季や大雨の後は増水のため千本リンガは見れず、滝エリアも安全のため入ることが出来なくなる。おすすめは乾季となり、乾季後半には川の水位が低く川底の彫刻もきれいに見える。雨季は緑溢れ聖山としての雰囲気は良いが足場が悪くなることも。また、クメール正月や連休には地元民が大勢集まるため一部のレストランなどが値上げすることもる。

 

旅の予算

$75~$150

クロマーツアーズなど、一般的な旅行会社で手配する場合、ガイド、車両付きで1人$75程度。(2名から催行、入場料別$20)
ゲストハウスなどで手配する場合、参加人数で車両代金を割り勘したりすることもあるが、車両保険などがついていないことが多いため要注意。また、坂がきついためトゥクトゥクでは辿りつけない。

旅の注意点

クーレン山に上る道は狭く、車一台しか通れない場所もあるため交通規制があり昼12時までは上り、以降は下山のみとなる。
また、山まで直接行く直通バスはないため、現地発の観光客向けツアーバスや運転手付車両チャーターが一般的となる。
山中、観光エリアの地雷撤去は終了しているが、まだ残っている確率もあるためむやみに森へは入らないように。また毒蛇もいるので注意!

 

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【みどころポイント】

Linga 1000 (Phnom Kulen) (106)

【千本リンガ】 クーレン川の川底の岩に直接彫り込まれている彫刻。男性器を意味するリンガや、ヴィシュヌ神などの神々の上を水が流れることにより、下流に流れる水は聖水と化す。

 

Preah Ang Thom (Phnom Kulen) (183)

【プレアアントン涅槃像】 クーレン山で一番大きな現代寺院内の巨大な一枚岩の上部に彫り込まれた涅槃像。敷地内には占い師もおり、1$程の喜捨でカンボジア占いが体験できる。また寺院近くには屋台も多く、森の植物や天然の漢方薬などシェムリアップでもあまり見かけない商品も多い。

 

Waterfall (Phnom Kulen) (7)

【クーレン滝】 落差2mほどの小さな滝と、20mほどの高さの滝がある。滝つぼではプールのように泳げるエリアがある。泳ぐなら水着を持参したほうがいいが、水着のレンタルショップもある。

 

Srah Domrei1 (Phnom Kulen) (19)

【スラードムライ】 密林の中に眠っている幻の巨象「スラードムライ」。いつ、いったい誰が何を目的に作り上げたのか起源は謎。その近くには二頭の獅子、蛙、牛の像もある。他にも50を超す遺跡があるが、その多くはアクセスが悪く、地元ガイドがいないと辿りつけない。

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プノンクーレンには正午までに入山しなければならないため、午前中にツアーが催行される場合がほとんど。そのため午後は他の遺跡と組み合わせて観光することが多い。オススメは下記の通り。廃墟寺院であるベンメリア(入場料$5、見学時間約50分)、クバールスピアン遺跡(アンコール入場料、見学時間約90分)、バンテアイスレイ遺跡(アンコール入場料、見学時間約90分)の組み合わせなら、同日観光も可能である。

たとえばこんな旅

【四大有名遺跡廻り】 7:00 出発 → 8:30 廃墟寺院ベンメリア観光(約1時間) → 11:00 プノンクーレン到着寺院に到着し観光・昼食(約2時間) → 14:00 クバールスピアン(約90分) → バンテアイスレイ → 18:00 到着

【プノンクーレンとスラードムライ】 7:00 出発 → 9:00 プノンクーレン到着→滝、千本リンガ、巨大涅槃像を散策し昼食→ 13:30 バイクでドムライクラップ、ルーンプロチウ洞窟、スラードムライを訪問 → 17:00 到着

 

Banteay Srei 2010NOV (77)

【バンテアイスレイ】 「女の砦」という意味を持つ赤い砂岩でできた寺院であり、「東洋のモナリザ」と呼ばれる美しい女性の彫刻が残されている。その美しさを自分のものにしようとフランス人が盗掘を行い、逮捕されたという実話が残っている。アンコール入場券が必要。

 

Beng Mealea (341) copy

【ベンメリア】 天空の城ラピュタのようだ!そんな噂も流れ、多くの日本人が訪問するようになった大型寺院。実際、遺跡では崩れ落ちているエリアも多く、そこから伸びる巨大な木や絡まっていく根の様子は噂に違わず、荒廃感と寂寥感がある。ベンメリア入場券5$が必要。

 

Kbal Spean (334)

【クバールスピアン】 片道1500mのハイキングで遺跡の残されるエリアに到着。200mほどの川に沿ってヴィシュヌ神などの神々や千本リンガ、魔王の彫刻などが岩肌に彫り込まれており、その川の水はプノンクーレン同様に聖水としてシェムリアップへと流れていく。15時以降は入山禁止。アンコール入場券が必要。

 

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