カンボジアには良いものがたくさんある。そう語るのはvery berryのショップオーナー中川裕聖子さん。吹き抜けるか風が心地良い、おしゃれな小道でメイドインカンボジアのショップを営んでいる。「カンボジアが好き」だからこそメイドインカンボジアにこだわる中川さんの想いを語っていただいた。
ーカンボジアに来たきっかけ、お店を出したきっかけを教えて下さい。
初めてカンボジアに来たきっかけは、バックパッカーとして東南アジアを一人で旅していた時、カオサン(タイ)の旅行会社でたまたまアンコールワットの写真を見て行く事を決めました。バックパッカーとしてカンボジアに何度も足を運んでいるうちに、「そんなにカンボジアが好きなら、カンボジアに飛び込んでみよう」と思いました。2005年のことです。仕事も決まっていなかったけれど、「カンボジアが好き」という想いでとりあえず行こうと思いました。旅行会社に仕事が決まり、ツアーなどを通してお客様と話していると「カンボジアのお土産はなんですか?」と聞かれる事が多くありました。その当時カンボジアのお土産はタイ、中国から輸入したものを「カンボジア土産」として販売していました。カンボジアに雑貨などのかわいいお土産はないのかと思ったことが、この仕事をするきっかけです。
3年勤めた旅行会社を辞め、カンボジア各地を旅しました。地方ではいぐさ、竹、シルクなど様々な商品があり、良い物があれば買い付け、シェムリアップへ戻りホテルなどで販売をしていました。ある程度安定して売れるようになってからは自分のショップを持ちたいと思い、そのとき偶然通りがかったこの道に一目惚れをし、2012年にオープンしました。
ー買い付けをする際、どのように各地をまわりましたか
州都などに行き、そこで暮らしている人たちから情報を集めてバイクで直接向かいました。実際、村の人々と働き始めるとモチベーションの高い人もいれば、そうでない人もいました。モチベーションが低いため、クオリティが安定せず、自分への負担が増えてしまう事もありました。4年目になる現在はクオリティが高く、自分たちの仕事に誇りを持っている人たちと取引をしています。
ーメイドインカンボジアに対してどのように考えていますか
カンボジアのイメージといえば、地雷や貧困などネガティブイメージを持つ人も少なくありません。しかし、実際カンボジアで暮らしているとそんな事はなく、貧しいけれど不幸せかと言えばそうではなく、物はないけれど心は豊かです。日本にいるから幸せかといえば決してそうではないと思います。そう言う事も含めてカンボジアはみんなが思っているほど貧しい国ではなく豊かな国なんだよということを、そしてカンボジアの良い部分をもっと海外の人に知ってほしいと思います。
今、カンボジアは「フェアトレード」という言葉から脱却する時期だと思っています。フェアトレードというイメージが持つ「貧しいから買って下さい」という観念から抜け出し、自立していく為の次のステップに行く段階だと思います。だからこそ、カンボジアは豊かな国なんだということをvery berryを通してたくさんの人に知ってもらえればと思います。
ショップ一押しのウォーターヒヤシンスのかごバッグ。
フリンジがアクセントの新しいデザインのバッグ。
お店で人気のワンピース。赤が売れ筋。柔らかい素材が肌に心地よい。
数多いアクセサリーの品揃え。サガの実など天然素材を使用している。
丁寧に作られた木彫りのアクセサリー。日常のワンポイントに。
ぬいぐるみなども販売している。たくさん種類があり、悩んでしまう。
様々な商品がショップ内には置かれている。どれも自分で使いたくなるおしゃれな商品ばかりだ。「カンボジアのお土産は何がいいですか?」という質問に応えてくれるvery berry。今日も爽やかな風に柔らかいスカーフが揺れている。
ショップ内でバッグのデザインをする中川裕聖子さん
【very berry】
(write & Photography by MIKI KOBAYASHI)