【プノンペン】Sui-Joh代表 浅野 佑介(あさの ゆうすけ)

関係する日本人

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脳内出血で生死を彷徨う

小説家、ジャーナリストなどの物書きになりたいと思い、文化センターの講座に2年間通ったりもしていた。自分でいろいろなことを考え文章を作っていく。しかし、実際それだけで食べていくことは難しい。その夢は将来に置いておき、まずは等身大の自分で、今出来ることをやることにした。

2004年、大学を卒業し、オーストラリアにワーキングホリデーに行った。ワーキングホリデーと言えば、旅やファームステイで1年を終える者も多いが、真面目に英語に取り組んでいた。海外を経験するという意味では満足だった。帰国後は出版社に就職した。世は韓流ブームであった。その煽りを受け、韓国と日本の文化比較、そして観光情報を紹介していく雑誌の担当となった。主に編集、ライターとして業務を行っていた。昔、描いていた夢の続きを楽しみ始めた。そんなことも束の間、韓流ブームの終焉とともに、2年程で担当雑誌が休刊となった。

26歳でIT関係の会社へと転職することとなった。自分がやりたかった仕事でもなく、仕事も大変であった。夜勤もあり過酷な環境ではあったが、職場の仲間に助けられながら、与えられた環境の中からの楽しさを見いだし始めていた。

ある日、仕事帰りに駅で倒れていた(病院談)。目を覚ますと母親がベッド脇にいた。日々の疲れから来た、単なる過労だろうと思っていた。医者からは念のためにとMRI検査を勧められた。そして検査結果が出た。脳動静脈奇形と言う先天的な脳疾患であった。このまま放っておくと出血の危険を伴うと言われ、1ヵ月後、手術を受けることとなった。術後、医者からは手術の成功を告げられ、数ヵ月単位で結果を見ていくことになった。安心した。しかし、その3ヵ月後に激痛と共に目が覚めた。やばい痛みだと思った瞬間から記憶は抜け落ちていた。

目が覚めると、丸坊主になった自分がいた。手術は終了したが、脳内出血で生死を彷徨っていたようであった。病院までは、父の運転する車に自分で乗り込み、普通に自分で病院の待合室まで歩いていたそうである。しかし、そのあたりの意識も含め、2週間程の記憶が失われていた。医者からは、睡眠をきちんととり、仕事を頑張りすぎず、ストレスを抱えないように言われた。病院のベッドに横たわりながら、自分自身、次にいつまた倒れるか分からないという不安を抱えることとなった。自分の人生を、自分が興味を持っていない仕事に使っていいのか考えた始めた。そんな時、学生時代にバックパッカーの旅で訪れたカンボジアを思い出した。貧しくネガティブなイメージしかなかった国だったが、実際に辿りつくと、知り合ったカンボジア人のみんなが、明るく笑いながら、見知らぬ旅行者に対しても優しく接してくれた。金銭的には貧しいかもしれないが、心は日本よりも豊かだと思った。もう一度、そこに行きたいと思いだした。そして、そこで自分の存在意義を考えたいと思った。

 

 

10年ぶりのカンボジア再訪
Sui-Joh起業

(こちらの記事は書籍版でご紹介しております)

 

 

カンボジアでの意識、自分のこころ

近年、カンボジアに進出してくる外国企業が増加していますが、外国人はあまりカンボジア人の中に入ろうとせず文化的なことを含めて、知ろうとしないように感じます。また彼らの事を軽く見ている傾向があるようにも感じます。カンボジアで仕事をさせてもらっているのですから、もう少しカンボジア文化を尊重し、知ろうとすることが必要だと思います。

また、雇用を作ってあげるという表現を使う人もいますが(と言う私もカンボジアに住む前はそのように考えていたのですが)、実際、カンボジア人たちと一緒に働いている時に思うのが、彼らがいないと自分たちだけでは何もできないということです。

個人的な意見ですが、カンボジアで何かをやるには、カンボジア人コミュニティーに入り、ネットワークを構築し、きちんとやっていった方がいいと思います。

自分自身、ここに来たことで、日本がより好きになれたと思っています。そして自分と言う存在を掘り下げて考えることができるようになりました。カンボジアに、カンボジア人に感謝しながら生きています。

 


浅野 佑介 (あさの ゆうすけ) 

出身: 愛知県

学歴: 中部大学経営情報学部卒業、ノートン大学大学院

職業・業種: Sui-Joh代表

座右の銘: 青春の夢に忠実であれ Happiness is only real when it is shared

趣味: マッサージ、カフェ巡り、読書、昼寝、旅

カンボジア歴: 2001年3月初訪問、2011年4月より在住

ウェブサイト: http://suijoh.com

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