日本で
社会人になる前から途上国に関することがやりたかった。しかし、NPOの活動は盛んではなく、海外支援と言えば、国連か青年海外協力隊でなければ、途上国で活動する機会はほとんどない時代であった。
20歳で短大を卒業し、証券会社に3年間勤めた。世の中はバブルに浮かれていた。雇用条件も良く、貯蓄した金でアメリカの大学に留学し、国際関係学を学び帰国した。その後、VIP向けのパソコン家庭教師として起業した。とはいえ、個人で行っている会社という事もあり企業ブランドはなく、人脈もない、資金もほとんどない状態からのスタートであった。
1998年、「女性起業家コンテスト」に入賞した。そのタイミングでウェブ制作会社を設立した。企業のホームページやプロモーション、企画、戦略、広告、マーケティングなど、プロデューサーとしてクリエイターを束ねるプロジェクトを行っていた。初仕事は一本の企画書で五千円の受注であったが、年を重ねるごとに事業は拡大し、後半には1本三百万円、大きな案件では合わせて数千万円規模のビジネスとなっていた。会社自体は順調に売り上げを伸ばし、年商は2億円近くになった。しかし、忙しさのため、ゆっくり眠る時間もない日々が10年以上続いていた。
2008年9月15日、世界的金融危機、リーマンショックが日本経済を襲い、売り上げは半減した。これをきっかけに新規事業により力を入れることにした。
アジアへの仕事づくり。そしてカンボジアのクリエイティブさを感じる
ドリーム・ガールズ・デザインコンテスト
(こちらの記事は書籍版でご紹介しております)
今後の挑戦とその先
2014年6月、プノンペンのイオンモール内に、コンテストの入賞者たちのデザインを使用した商品を扱うアンテナショップをオープンしました。正直、上手くやっていけるのか不安だらけです。途上国で店を一軒立ち上げることの大変さ、ある程度は想定していましたが、全く想定外のことが起こりまくり、毎日がハプニングの連続です。
でも、カンボジア人や観光客の方々に商品を購入いただくことで、カンボジア人女性デザイナーの存在をアピールし、女性の地位向上に繋げていきたいと思っています。そして将来的には、カンボジア女性が「誇りや自信」を感じられる店にして、ここで創られるブランドを世界へ発信していけたらと、どんどん妄想だけは膨らみます。現状からすると、まだまだほど遠いですけど。
カンボジアから始まったプロジェクトですが、できることならアジア各国にも広めていきたいと考えています。他の国でも同様にコンテストを行い、それぞれの国の女性の力をアピールしていく。そしてそれぞれの国で商品化を行い、店を構え、学校を作っていく。そんな循環を作っていきたいと考えて働いていると、自然と毎日が充実しています。
また、このプロジェクトは誰のためなのかと聞かれると、自分のためにやっていると答えています。人の夢のために自分が動くことで、学びと喜びが何倍にもなって返ってくるからです。誰かの夢を本気で応援することで、自分の夢も叶っていくって本当なんだなと思っています。
アジア途上国女性の夢が叶うこと、それが私の夢です。
温井 和佳奈(ぬくい わかな)
出身: 東京都
学歴: 大妻女子短期大学国文学科卒業、ボストン大学国際関係学部卒業
職業・業種: ブルーミング・ライフ代表取締役、ドリーム・ガールズ・プロジェクト理事
座右の銘: 素直に生きる
趣味: 面白い企画を考える事
カンボジア歴: 2009年初訪問、2014年より定期的に滞在
ウェブサイト: www.dreamgirlsproject.com / www.bloominglife.jimdo.com / www.facebook.com/wakana.nukui