【プノンペン】日本画家、プノンペン王立芸術大学客員教授、山田アートスクール代表 山田 隆量(やまだ たかかず)

関係する日本人

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カンボジアとの出会い

子供の頃は漫画家になりたかった。今でこそ、漫画もアートの一つとなってきたが、一昔前の美術界ではそれを言うことも憚られていた。そんな時代であった。

1983年、芸術大学大学院の日本画科を修了した。そして、法隆寺や高松塚古墳、釈迦金棺などの模写などを行いながら、自分の作品を描いていた。1994年、院展(日本美術院)の恩師と一緒に1週間だけカンボジアでスケッチをする旅に1週間訪れたことがあった。それまで、自分にとってカンボジアは全く興味がない国であり、先生に誘われ仕方なく来ただけであった。到着した小さな空港には戦車や戦闘機が並び、近くには兵士たちが大勢いた。しかし、なぜか雰囲気はのどかであった。赤土の煙が立つ道を通り、アンコールワットへと向かっていると、カンボジアの人々が風景の一つのように生活をしていた。この国が自分のライフワークとなる国だと感じ始めていた。

1999年には1人で再訪した。日本にいる時はずっとカンボジアを夢見ていた。この時は、2週間という短い滞在であったが、思う存分この国を満喫した。それまで5年の間、何度となくカンボジアに来ようとしていたが、ビザ問題や仕事の関係でなかなかタイミングが合わず来る機会を逃していた。その後、毎年1回、2週間のペースでカンボジアに訪れるようになった。もちろん、この国で思う存分、自分の絵を描くためであった。

日本では、絵描き(画家、日本画家)と言う仕事であった。自分の時間を拘束されないように、定職は持たないようにし、定期的に自らの個展を開く傍ら、非常勤講師として中学、高校生の美術を教えていた。そして子供や大人を問わず、学びたい者を対象とした日本画教室を開き、講師を生業として生活をしていた。

2010年、知人の紹介もあり、プノンペン王立美術大学客員教授として迎えられることになった。日本での活動を続けながら、プノンペンでは先生として学生たちに絵画を教える、2ヵ国間を行き来する生活が始まった。それらの費用は全て自分で負担しなければならず、経済的には大変であった。

そして、自身のアートスクールをプノンペンに開校した。レベルの高いカンボジア人アーティストを育成するためには大学の授業だけでは限界を感じていた。ここで絵の基礎力を育て、描く力、観察力を育てていく。実際、才能があるカンボジア人は多い。しかしこの国にはプロとしてやっていける土壌がない。芸術大学を卒業しても、お土産用の絵描きや一般企業に勤めるしかないというのが現状である。

そんなシステムを変えたい。プロのアーティストとしての意識を育て、世界で通用する実力をつけさせたい。画商、美術評論家などを含めた美術市場をこの国に導入し、展覧会などを行い、海外の美術家からも評価してもらえる環境を創っていきたいと考えた。そのために、美術に関する啓蒙活動やアートコンテストを主催した。何の土壌もなかったこの国で、アートコンテストを行ったことで各メディアからの注目もあった。学生たちのやる気と意識がずいぶん変わり、より向上し始めている。

 

カンボジアでの芸術指導に対する思い
カンボジアに住んで。この国の学生と日本の学生の違い

(こちらの記事は書籍版でご紹介しております)

 

今後のカンボジアアートと自分の挑戦

アートは文化であり、生活に必要不可欠なものではありません。世の中が安定しているときに必要とされるある種の贅沢なものです。政治や経済の問題で世の中が不安定になると、その文化が途切れてしまうことになる。それが怖いですね。

僕自身の夢は、自分が教えた生徒や関係した若者たちの作品が世界で評価を受けることです。また、プノンペンだけでなく、地方都市であるシェムリアップやバッタンバンとも芸術の輪を広げ、彼らが切磋琢磨しながら、共に成長してくれることでもあります。

将来的に東南アジア一の美術館をプノンペンに作り、世界に誇れる芸術作品であるアンコールワットを作ったクメール人の子孫が、新しいアートとクメール伝統美術を融合させた作品をここで展示する。そして、その美術館があることで、現代クメール美術がより発展する。そんな事に関わっていければいいなと考えています。

 


 

山田 隆量 (やまだ たかかず)

出身: 愛知県名古屋

学歴: 愛知県立芸術大学大学院日本画科卒

職業・業種: 日本画家、プノンペン王立芸術大学客員教授、山田アートスクール代表

座右の銘: 人間が好き

趣味: 車

カンボジア歴: 1994年初訪問、その後何度となく訪れ、現在は在住

ウェブサイト: http://blogs.yahoo.co.jp/takatakao516 / www.facebook.com/takakazu.yamada.3

 

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