【みーすけ日記】Vol.61 戦争は過去じゃない。現在も続いている。

みーすけ日記

スオスダイ!みーすけです。

タイトルを見て「何を真面目なことを〜」と思われたかもしれませんが、今回のインスペクションは地雷撤去をされている高山さんがいらっしゃるタサエンを訪問することでした。

高山さんについて少しお話をしますと、36年間ほど陸上自衛隊に勤務され、1992年から93年にかけて国際連合平和維持活動で初めてカンボジアに派遣された自衛官です。 2002年退官後は再びカンボジアへ渡り、世界初となる住民参加による地雷処理活動を開始。JMAS(日本地雷処理を支援する会)に参加し、理事に就任。 2011年2月にはカンボジア王国中央政府機関 CMAC(カンボジア地雷対策センター)より地雷処理技術顧問に任命され、バッタンバン州議会からは復興担当顧問に任命されました。それらの功績から、2011年に公益財団法人社会貢献支援財団より社会貢献者表彰を受けた方です。

 

自らの命を賭し、カンボジアの地雷撤去を村人たちのために進めていく高山さんにお会いするのは少し緊張しましたが、実際タサエンに到着し、出迎えてくれた高山さんは非常に気さくで、その手で地雷撤去をしているだなんて微塵も感じさせないようなフレンドリーな方でした。

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タサエンは激戦地だったとは思えないほど、のどかで、心地良い風の通る場所です。

高山さんもお住いのこの場所で一晩お邪魔することとなります。

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シャワーは何と手作り。井戸と雨水を組み上げ、ペットボトルで作ったシャワーヘッドからダイレクトに水を浴びます。これは意外と快感でした。笑

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一通り設備の説明を受けた後、昼食に。
いつも思いますが、カメラマンが多いのも困りものですよねー・・・・。

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もちろんご飯はどれも美味しく、特筆すべきはお米が異常なほど美味しい。
実はバッタンバンのお米はアジア米品評会で優勝するほど。
お米が美味しい。おかずも美味しい。なんという贅沢。

 

昼食が終わり、雑談タイム。

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実は高山さん、醸造もされているとのこと。

ちょうどこの時、2トンものサトウキビを乗せたトラックが到着しました。
これらのサトウキビを30cmほどに切断し、畑に植え、またサトウキビ畑にするそうです。

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そこから収穫されたサトウキビを蒸留し、ラムなどを醸造しています。これまたコーヒー焼酎なんであるもんだから一口いただきましたが、御察しの通り

非常に美味しくいただきました。

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さて、その後は高山さんの案内のもと、タサエンを巡ります。

まずはじめに向かったのは地雷撤去の際に事故が起こり、惜しくも犠牲者となってしまった人たちの慰霊塔です。

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亡くなってしまった7人のデマイナーは高山さんにとって大事なスタッフでした。お線香を捧げた後、その時の様子などを話してくださいました。

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地雷はどこにでもあるものじゃないけれども、埋められたものはまだ生きて眠っている。それらと遭遇してしまった時、眠りを覚ましてしまった時にどんな犠牲が出るのか。

この時の犠牲者、7人のうち5名は肉片しか残らず、肉片についていた衣類などから判断して少しずつ骨を集めたそうです。2名は40m以上現場から吹き飛び、衝撃により命を落としました。

この時の地雷は対戦車用地雷。ですが、その上に対人地雷があり、それらを爆発させることで周辺の地雷も起爆。結果大きな事故と繋がってしまったそうです。

 

人を殺すために作られた地雷。一人でも多くの戦士を減らすために作られた兵器。それらがまだカンボジアにはたくさんあり、それらを撤去するにはまだまだ時間がかかります。そして現在もまだ被害があるのも事実です。

 

次に向かったのは現在タサエンで行なわれている日系の工場へ。タサエンには工場が複数あり、そこで働く現地スタッフが多くいます。(スタッフの方の希望により写真の掲載は控えさせていただきます)。
このタサエンという地雷の多い地域で地雷撤去だけではなく、さらに雇用を作る。安心して働ける環境を作ってきた高山さんは多くの方から信頼を得ています。タサエンを巡っている時多くの村人と出会いましたが、すべての人が高山さんに笑顔で挨拶をしていました。

 

そして実際の地雷の被害者の方とお会いすることもできました。

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こちらの方は膝下から両足を失い、現在義足で生活しています。
地雷により両足を失ってしまた今も、自らマンゴー畑を広げ、事業を拡大しています。

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本当・・・・カメラマンが多いのも困りものですよね・・・・・・・・・。

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最後は国境に。滞在先から車で5分もしない場所に国境はありました。
この国境ではカンボジア人しか通ることができず、外人はタイに渡ることはできません。
日本は島国。1m先が違う国だなんて体験ができません。もう目の前がタイ。この川を越えれば言葉の違う場所。国って何でしょうね。

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高山さんは小学校も建設されています。

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滞在先の目の前にあるため、見学をさせてもらいました。

クラスは2クラス。初級と中級といったところでしょうか。生徒は大きな声で日本語を読み上げていました。

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日が暮れ、夕食に。再び美味しいご飯が山盛りです。笑
本当に美味しかった。

ええ、お米はもちろんお代わりしましたよ。

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夕食後はお酒を酌み交わしながら実物の地雷を見させてもらえました。
この地雷はもちろん処理済みで「死んでいる」状態です。

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高山さんが「死んでいる」対人用地雷をセットして、踏ませてくれました。

片足の体重をかけただけでは何も反応しなかったのですが、一歩踏み出そうとしたその時、

カチッ

 

この音がした瞬間に実際は起爆し、足が吹っ飛びます。

「絶望の音」

一瞬にしてそんな単語が頭をよぎりました。思わず小さく叫んでしまいました。

 

現役で地雷を処理する高山さんの「生」の声。そんな声を聞きながら1日目は終了。ハンモックに揺られながら、その日の見たものを頭で整理していきます。

 

戦争が終わった現在も生きる地雷。
過去の遺物ではなく、目の前に広がる現実です。それらの危険にまださらされている人たちが数多くいる。そしてその不安を少しでも取り除いていく人がいる。

 

明日は実際に地雷を爆破し、処理する現場へ向かいます。

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