動物のレリーフ探しの遺跡巡り 森川怜奈

インターンシップ

こんにちは。クロマーツアーズのインターンシップでカンボジアにやって来ました森川です。

一週間のインターンシップで記事のテーマを設定し、シェムリアップの遺跡3箇所を取材し出版業務の体験をしました。動物好きということもあり、今回私が選んだテーマは「遺跡の中で見つけられる動物」です。

アンコール・ワットを始め、シェムリアップの各地に点在する遺跡の中にはヒンドゥー教、仏教の神話に基づいた神様や怪物、悪魔のレリーフが数多くあります。しかし各所遺跡にあるレリーフの見どころはそれだけではありません。今回ご紹介するのは実際に訪れたアンコール・ワット、アンコール・トムバイヨン、タプロームの遺跡三か所で見つけることができる動物のレリーフです。

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                         (写真はバイヨンにあるお乳を与える水牛と子牛のレリーフ)

【アンコール・ワット】

壮大なレリーフのギャラリーとして知られている第一回廊には壁面に大きく神話が描かれているものもありますが、回廊の一つ一つの柱には無数に描かれた小さな円状のレリーフがあり、人の姿をしたものの他に牛やシカ、トラ、ウサギ、イノシシ、馬、鶏などの野生動物の姿が描かれています。これらの動物は狩りの獲物であったり、建設当時の人々の生活の中で関わりのあった動物であると考えられます。

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(写真上は左上がトラ、左下はシカ。下は上がウサギで下はサルのレリーフ)

また第一回廊西面北側、南側にはそれぞれラーマヤーナとマハーバータラの壁面があり、それぞれ図像を平面に並べることで一つの神話を構成しています。その中には現実にも存在する動物の馬やゾウ、水牛が描かれています。

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(写真上の中央に馬車を引く馬。下はクジャクと思われる鳥のレリーフ)

【アンコール・トム】

次に向かったのはアンコール・トムの中にあるバイヨン。そこでは動物や当時の人々の生活を表したレリーフが多く見つけることができ、描かれた当時の人々の様子や自然を想像することができます。

弓を使って狩りをする様子や雄鶏や闘牛、闘鶏など動物同士を戦わせて楽しむ人々や豚を丸焼きにして調理している様子などが描かれています。またアンコール・ワットでも見られたシカや馬などの陸上の動物だけではなくカニやカメ、魚なども見つけることができます。

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(写真上が豚を調理しているヒト。下は闘犬を楽しむ人々の様子が描かれています。)

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(写真は魚、鳥、亀などの生き物が描かれているレリーフ)

バイヨンの他にゾウのテラスでは300m程続くテラスに何頭ものゾウの彫刻がたくさんあり、ゾウの背中にはゾウ使いの姿も見つけることができます。古くからゾウは馬と同様に移動手段として使われ、人間と共生関係にあったことが分かります。

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(写真上はゾウとゾウ使いのレリーフ。下は立体的なゾウの顔の彫刻)

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(ゾウの足元にあるトラに襲われれている人のレリーフとそれを 説明しているガイドのカンさん)

バイヨンにはジャングルやマングローブなどの自然を描いているものが多く、そこで暮らすサルやリス、鳥、トラなどの野生動物の姿も描かれています。中でも印象深いものが寝そべるサルと毛づくろいをしてあげているサルのレリーフです。実際にアンコールワットやバイヨンの遺跡内では野生のサルを見ることができます。私がアンコールワットで見つけたサルはレリーフの2匹のように地面でのんびり毛づくろいをしていました。遺跡が作られた頃のカンボジアの人々もサルは身近な存在で、毛づくろいしている姿を見ていたのではないでしょうか。

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(写真上がアンコールワットで見た野生のサル。下はバイヨンにある毛づくろいをするサルのレリーフ)

【タ・プローム】

動物探しの遺跡巡りもこれでいよいよ最後の目的地になります。巨木の根が遺跡に絡みついていることで知られているタ・プロームでは非常に興味深い恐竜のレリーフを見つけることが出来ました。

そのレリーフに描かれている生き物はジュラ紀後期から白亜期にかけて生きていた恐竜ステゴザウルスを彷彿させます。珍しいこのユニークな恐竜の形をしたレリーフはタ・プローム遺跡の見どころの一つとして多くのガイドブックでも紹介されています。

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(写真中央にステゴザウルスのレリーフ)

ご紹介した3つの遺跡は共通してカンボジアの豊かな自然や文化、宗教を象徴するもので、今回の取材を通してカンボジアやアンコール・ワットなどの遺跡に対する漠然としたイメージがより鮮明になりました。またヒンドゥー教、仏教の二つの宗教の影響を強く受けて作られたものの、レリーフに描かれている動物に焦点を当てることで、カンボジアの宗教や文化は自然は密接に関係していて切り離すことのできない遺跡を構成する重要な要素ではないかと思いました。今回ご紹介した3つの遺跡を訪れる際は、動物のレリーフにもぜひ注目してみてください。

森川怜奈

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